蛍火オタクの日記

舞台、若手俳優さんについて

SPRING AWAKENING

 



19世紀末、ドイツ。退屈な授業、強圧的な教師、無理解な親…。思春期の真っ只中である10代の少年少女たちは、保守的な社会の中で退屈な日々を送っている。性への無知と、大人の無理解によって生まれた悲劇。  (パンフレットより)

 

浅草九劇でミュージカル春のめざめを観てきました。

キャパが100未満の会場なので後列でも全然近い、今回はFC枠なのでマチソワ最前列を用意してもらったけどステージも20センチあるかないかの高さで1メートルくらいしか離れてないので手を伸ばせば届いてしまいそう。なのにその先ではあまりにも狭い世界で生きている子供たちが叫んでいる、というギャップ。演劇の醍醐味を全身で浴びれてたまらない。

春のめざめはトニー賞受賞もしている名作であると同時に、その内容が社会問題にもなり上演が禁止されていた過去も持つ過激な作品です。芸術としてい見る分にはそこらへんは特に気にしていなくて推しのラブシーンもむしろどんな顔してんのか見たいな〜という人間なんですけど、こんな平松來馬が見たかった大賞すぎた……。

 物語は少女ヴェントラが母親に赤ちゃんはどうすればやってくるのか尋ねるところから始まります。この時代、学校で性教育というものはなく、コウノトリが授けてくれると幼い頃から言われてきたヴェントラの知りたい、という気持ちを母親は「夫だけを心の底から愛すること」と曖昧な返答で遠ざけます。

その頃、ただ教師に聞かれるままに答え、自らの考えを言えば体罰を受ける日々をメルヒオールたち男子は送っていました。常に成績トップな秀才であり、優しく、無神論者であるメルヒオールとそんな彼とは正反対で怒られていてばっかりの友人、モーリッツ。モーリッツは最近教壇にまたがる「青い足」の悪夢で眠れない日々を送る。

この青い足、青いと思ってしまうほどに白い女の足という認識で私はいるんだけどどうなんだろう。

モーリッツの夢について、そのモヤモヤ(言うならば性的欲求や好奇心)について、解消できるだろうとメルヒオールはこれまで読んだ本でえた知識をもとに10枚程の手紙に性行為のやり方や女性の感じ方をまとめて彼に渡します。

10代という曖昧な年齢設定ではあると同時に最初のヴェントラの振り付けが自らの胸の丸みや体のラインをなぞっていたり、ヘンスヒェンの自慰行為のシーンを見ると明らかに二次成長期を経た子たちだし今の時代から考えるとその年齢まで誰もそれを教えてくれないって中々に衝撃。春のめざめ、紙を使った演出がすごく良くて、この手紙についてモーリッツとメルヒオールが話す曲の中で全員が紙を破って一番の盛り上がりでぶちまけるんだけどそれがまっっっじで最高…シンプルなセットで床も暗いからひらひら舞い落ちる紙がよく映えていて、その中で歌っている少年少女、あまりにも美。

 

幼い頃からの知り合いだったけれど歳を重ねるにつれて学校も離れてしまい会う機会も減ったメルヒオールとヴェントラは再会し、お互いに何かを感じていく。そんなある日、友人マルコが父親から肉体、性的虐待を受けているのを知ったヴェントラ。殴られた事がなく、その痛みや苦しみが分からないヴェントラはメルヒオールに「私を殴ってほしい」と頼みこむ。マルコはベルトのバックルで殴られているけどヴェントラがメルヒオールに渡したのは木の棒。ここでメルヒオールが木の棒を振って「確かにこれで殴られたら痛いだろうね」って言うんだけど、ほら、平松來馬さん、テニミュに4年いる人間だから軽い素振りでままあまあいい音出すんですよねwwwww

 

で、最初は殴るなんてできない!って言ってたメルヒオールもヴェントラがあまりにも「私は何も感じないの!軽く叩いても分からないわ!」とか言ってスカート捲り上げるからついに暴走。

 

「おねだりの仕方を教えてやるよ!!」

 

脳内で祭はじまってしまった

 

ヴェントラのことを殴って、お腹を膝蹴りするメルヒオール、スイッチが入ってちょっとだけ笑ってるんだよ…。たまらないです…。今まで天真爛漫なイメージが強くて、一度人狼で村人を殺す役はあったんだけどここまで暴力的なの初めてでした。

ヴェントラの悲鳴で我に帰って逃げてしまったメルヒオールと、その場で泣き崩れるヴェントラ。その後再会した時にお互いの鼓動を聞いて、あの日何がが始まってしまったと知った2人は他の同級生たちがいない間に唇を合わせてついに性行為に手を出してしまう。

 

心の中でスタオベした。

 

推しのキスシーンめちゃくちゃよかった、メルヒオールかっこいい〜〜〜!!!胸とか下半身触られる度に怖がるヴェントラちゃんのパンツ脱がして割とすぐに自分もズボンおろして突っ込んじゃうから「もうちょっとゆっくりしてやれよ童貞!!!!(私は可愛い女の子のモンペにすぐになってしまう)」って気持ちだった。むしろこの時ヴェントラちゃんのオタク。

 

 

2幕はその後からの話、

落第したモーリッツは新しい人生を始めようとメルヒオールの母親にアメリカへ行く資金を求めるも母親は判断を見誤ることはできないとそれを拒否。父親からも失望され、自暴自棄になり始めたところで昔一緒に遊んでいた女の子、イルゼに再会。イルゼも体を男たちに消費される生活を送り、心を押し殺しながら強く生きる女の子。そんなイルゼが自分のことを語ることができる相手がモーリッツ。予習をしていないで観たのでまだ理解が浅いんですけど、この2人の関係性すごいよかった…イルゼの一緒に居て、という言葉を断ってしまい自己嫌悪に陥いるモーリッツ、自分の見えない未来と孤独に包まれたモーリッツは父親からくすねた銃を咥えて引き金を引く。

最初にあげた画像はそのモーリッツに手向けられた花なんだけど、イルゼが手向ける前にモーリッツと別れた日の衣装で上の階から嘔吐して絶叫するシーンが入っていて、モーリッツの死体も見ちゃってるんだよな……。手向けるシーンでは花にキスをしてから置いているからイルゼは間違いなくモーリッツの事を愛していたし、モーリッツもきっとそれをもっと早く理解していれば自殺しなかったのかな。

 

 モーリッツが亡くなった後、ヴェントラは妊娠した事が発覚。母親に怒られても子供の作り方を知らなかったヴェントラは何が原因か分からない。途中でようやくメルヒオールとの行為が原因と知り、母親に「どうしてあの時教えてくれなかったの!?」と言っても母親は「なんてことをしてくれたの」とヴェントラを引っ叩くの、めちゃくちゃしんど…まじで教えてないのに実際起きたら怒るの理不尽すぎない?!知りたいと言う知識欲もなにもかも狭い世界の中に閉じ込めてたくせに〜〜!ってなっちゃった。

メルヒオールはモーリッツを自殺に追いやった大元の性にまつわる紙の差出人として校長に呼ばれて尋問を受ける。「この手紙を書いたのは君か?」という問いに「僕だ!」と答え、「僕と君で新しい世界にいこう、どこにいても君の鼓動を聞いている」という手紙を送り、ヴェントラを妊娠させたことでその危険さを知りながら堕落の道に彼女を引き摺り込んだと親に感化院に送られ、そこで初めて彼女からの手紙でヴェントラの妊娠を知る。

感化院から逃げ出し、街に戻ったメルヒオールはイルゼに「教会の墓地にヴェントラを連れてきて欲しい」と頼み、約束の日。墓地でメルヒオールが見つけたのはヴェントラの名前が掘られた真新しいお墓。メルヒオール、その墓標に耳を当てながら泣いていて「どこに居ても君の鼓動を聞いている」の言葉通り過ぎてこっちまで泣いてしまった……。全てを失ったメルヒオールはカミソリで頚動脈を切って死のうとするけどモーリッツとヴェントラの魂に止められて、1人で生きていく決意を固める。

 

すっごくざっくりするとこんな感じなんですけど、全てのシーンが本当に刺さって、優しい曲もパワフルな曲もどっちも多いし今回はステージの上の部分にバンドメンバーがいて生演奏でのミュージカルだったから音がまさしく上から全身包み込む感覚で聞けて物語へののめり込み具合が半端なかった…!そして衣装が最高。男子組はグレーの制服(膝丈パンツ)なんだけどメルヒオールの腕まくりシャツとかサスペンダーとか推しの見たい衣装の詰め合わせすぎ〜〜!あとヴェントとの行為後ズボンのファスナーあげるのちょっと可愛かったです。あんなの中々見れないので…。女子組はカラフルなワンピースなんだけどレトロっぽさのある柄ワンピ大好き人間なので同じの欲しくてたまらない。特にマルタのグリーンのワンピかわいすぎてもうあれ買い取らせてくれませんか??!!ってアンケートに書きたい。

 

 去年の初主演がコロナで初日前になくなっちゃったのでようやく0番に立つ姿を見れたんだけど、満員の客席を見回す目がキラキラしていて「あ〜〜好きだなぁ」って実感した舞台でした。