蛍火オタクの日記

舞台、若手俳優さんについて

観劇記〜ミュージカル ハル〜

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赤坂、桜が綺麗ですね

ACTシアターで公演中のミュージカル「ハル」を観ました。

 

 

関西テレビ放送開局60周年記念ミュージカル「ハル」 | イベント | 関西テレビ放送 カンテレ

 

あらすじ

高校生のハルは、再開発が頓挫し寂れてしまった小さな田舎町で、母と二人で暮らしている。子供時代に患った病を乗り越え元気な体を手に入れたものの、本音を話せる友人もおらず、虚しい日々を過ごしていた。
ある日、町にボクシングに夢中になっている真由がやってくる。
真由に誘われて自らもボクシングにのめりこむうち、だんだんと変わり始めたハル。
母との関係、過去のトラウマ、世間との葛藤…ハルが自らの人生と向き合い始めた時、
町にも大きな変化がおとずれようとしていた───

 

生オケのミュージカルです。

以後ネタバレ。

 

感想   虚無。

 

いや…これ通ってるおたく中々しんどいでしょ……。

曲はすごくいいですし、シナリオも面白いんですけど、いかんせん脚本がやばい。

脚本以外は好きだなーって思った。

薮くんまだ声量弱いのかなぁって思う時もあったけどやっぱり歌声が綺麗で、鳥肌立ちました。あと北乃きいちゃんがすごかった。きいちゃんに2.5のヒロインやって欲しい。私の中できいちゃんって「サクラサク」の印象だったんですが、めっちゃくちゃ上手いし声量もズバ抜けてました。あとかわいい。本当にかわいい。

 

1幕は薮くん演じるハルくんが手紙を書いている所から始まりますが、その手紙は全てが嘘。初見からすると「え?なに?」状態では?実はハルくんは病気のため心臓を移植されていて文通の相手はそのドナーのご両親。…ドナーと文通って何回も出来るものなんですか?骨髄バンクは確か2回まででお互いの素性は一切明かさないよう骨髄バンクを通してのやりとりになるのですが…。しかも心臓移植したことが明確に分かるのはわりと遅めで、ハルくんが人の視線を気にしたり、幼馴染たちのグループともうまくいかない理由が分かりづらかったです。なんで移植されたことをここまで引っ張ったのか謎。そしてその移植の際にネット上で中傷を受けていたことも後半にならないと出てこないので、ハルくんの抱えてるものが1幕は曖昧になりがちでした。

真由ちゃんと出会い、ボクシングにハマりはじめたころ、入ろうとしているジムの会長が父親の死と関わっていた事を母親から聞き「母親をこれ以上悲しませたくない」とボクシングを諦めかけたハルくん。それに対して「死ねばいいのに」と言い放つ真由ちゃん。

 

「私のこと、なにも知らないくせに」

「お前だって俺のこと知らないだろ」

「少なくとも貴方が私を知らないってことは知ってる」

 

このやりとりは割と好きです。

そのあとのハルくんが怒りや悲しみ苦しみを吐露するんですが、その時の曲が割とリズミカルで…ここでそんな曲調にするのかと。そしてこの次のシーンが2回見てもまじで分かんなくて!!!ハルくんの幻覚の世界なのかと思うんですがよく分からない光のオブジェが出てきて頭の中にはてなマークが10個くらい浮かびました…あれ一体なにの表現…?

それでも真由ちゃんは言いすぎたと謝り、真由ちゃんのコーチのもとボクシングを再び始めるハルくん。廃れた町の人たちはそんなハルくんを見て、少しずつ変わろうとしていく。

 

2幕は町を盛り上げようとする社長の思い付きで町内のオリンピックが開催されます。ハルくんは心臓移植をしてから5年目の日に初めての試合をすることを決意。町のビッグイベントとして注目され、ハルくんも目立つ存在に。真由ちゃんはそんなハルを見つめつつも、姿をくらましました。ここの時点でハルくんは真由ちゃんにたいして「真由がいればそれでいい、他には何もいらない」とほぼ依存的な想いを抱いています。あまりにも情緒が不安定すぎでは?!?!

ある日幼馴染に連れられ再開発として進んでいた土地の廃墟に潜入するハルくん。そこには腕の折れたマネキンや割れた鏡、壊れた洗濯機など県内外から不法投棄されたごみが大量にありました。その中央から不意に姿を現したのは行方の分からなくなっていた真由ちゃん。真由ちゃんが指を動かした瞬間、ごみたちが一斉に動きだしハルくん達に襲いかかります。

 

突然のオカルトファンタジー 開幕

 

「ここは時代の墓場だ!」

「利用されて済んだらごみだ」

 

なんでここで真由ちゃん出てきたのかも謎すぎる。でもきいちゃんの力強い歌声は大好きだったしメリーゴーランドの馬に跨るのも可愛かった…これ他の作品で観たかったな…。あのシーンって幼馴染の2人の変化へ向けた引き金なのか?

 

ついにハルくんの試合の日、結果は惨敗でした。

その場から逃げ出し、「消えたい、もうみんなに会えない」と言うハルくんに対して、真由ちゃんは昔話を始めます。

 

5年前、ボクシングを始めたばっかりのいじめられっ子の女の子がいた。

その子は試合に出たけど思っていたことが何も出来ずに負けてしまって、消えたいとすら思っていた。けれど今思えば勝ち負けなんて関係ない。本気でぶつかることが大切なのに、その当時はなんで思えなかったのかな。それから、私の中の全てが止まった。

 

「ハル、その心臓、私のなんだよ」

 

…?!?!?!?!

 

 

真由ちゃんは5年前、不慮の事故によって亡くなっていて。(おそらく脳死)

その心臓はハルくんに移植されていました。やっとやりたいことも見つけたのに命を落としてしまった真由ちゃん。私(心臓)を逃げるための言い訳にしないで、と泣く彼女にハルくんは自分の人生を真っ直ぐに歩いていく事を誓い、真由ちゃんは夕日が消えるのを待つように夜の中に消えて行きました。最後に「ハルが大好きだよ」と告げて。

 

その足でハルくんはとある場所に向かいます。写真の中で笑う娘に対して手を合わせる、真由ちゃんのご両親の元へ。今まで送り続けた手紙の内容が嘘だった事を謝り、「僕は生きている価値があるのか分からなかった。この心臓に相応しい人間なのか、生きているのはこの心臓だけで僕はもうしんでいるのではないか。嘘をつく度に死んでいくのに、嘘をつかなければ生きられなかった。」と語ります。深く謝り、これからは正直に手紙を書く、何でもする事を誓ったハルくんに対してご両親が願ったのはただ一つ。「心臓の音が聞きたい」でした。

 

 

ざっくりとした流れはこんな感じなんですが、

ハルくんの母親は毒親のようなものでハルくんの心臓移植への募金ができなかった人を「心が貧しい人」と言い、社長は昔駅で出会った顔を腫らした女性に声をかけ、この町に迎え入れたのに少しすると「殴られるお前も悪い、お前は男が殴りたくなる顔をしているんだ」と言って彼女をサンドバッグちゃんと呼ぶ。彼女はオリンピックをきっかけにそれが嫌だと社長に言って、「やっと本人に言えた。こんなに簡単だったのに私って馬鹿だなぁ」なんて泣きそうになる。なんで彼女が馬鹿だなぁなんて思わなきゃいけなかったんだろう。周りの男性たちだって知っていて、彼女が嫌だったと言った時に「社長は人の痛みに鈍感」「それは言っちゃダメ」やら言ったのに今までは知らんぷりしてたのが胸糞悪かったです。

 

 

ソワレでは真由ちゃんがどういう存在なのかわかった事で発見も多くありました。

そういえばハルくん以外の人って真由ちゃんに対して一度も視線を向けないし真由ちゃんの事見えてないんだなぁとか、時々現れて「あの場所には一生行けなくていい」と泣く女性が真由ちゃんの母親なんだとか。

 

まあ舞台って複数回見る人も多いけど1回目見た時はつまらないけど2回目は面白くなるようないわゆるカメ止めと同じ様な売り出し方には向いてないなと思いました。

 

 

 

感想おわり。